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September 08, 2004

SESSION #034 「同郷の士」

今から十数年前のこと。 ちょうどボクの住む家の近所から次々と高校野球界を代表するような選手が登場した時期がありました。

ひとりはボクと同じ町内に住む稲葉篤紀。 名門・中京高校で活躍するものの県大会の決勝で敗れ甲子園には一度も出場する事はできなかったのでしたが、その後は法政大学からヤクルトスワローズに入団し2001年にはベストナインを獲得、去年はサイクル安打を達成と説明の必要が無いくらいのプロ野球選手として現在も活躍中。

その稲葉を愛知県大会で敗り甲子園に出場したのは愛工大名電。 その時、名電の二年生でレフトを守っていたのがとなり町に住む鈴木一朗。 彼は次の年の春に今度は投手として甲子園に出場するもののどちらも初戦で敗退だったわけですが、卒業後はオリックスに入団。 その3年後、登録名をイチローとした彼は日本のプロ野球界にものすごい旋風を巻き起こし、今や世界を代表するスポーツ選手となってしまいました。

そしてもうひとり。 そのイチローが高校三年生だった1991年の夏の愛知県大会の決勝、イチロー率いる名電を猛打で圧倒した東邦高校の四番を打っていたのがボクと同じ町に住む林尚克という選手でした。 スラッガーとしてはそんなに大きくない体だったんですが、すごく綺麗なバッティングフォームの持ち主で、その年の春の甲子園で満塁ホームランを打ったのを今でもしっかりと覚えています。

この三選手の中でプロ野球に行っていちばん活躍するだろうとボクが予想していたのは東邦の林選手でした。 しかしその後、稲葉とイチローの活躍はテレビでも新聞でも見ることができたのですが、肝心の林はプロ入りしたという話すらまったく聞こえてくることはなかったです。

それから数年後、大学生になったボクは社会人野球の都市対抗戦の応援団でラッパを吹くというアルバイト(?)をしていたのですが、そこでかの林尚克選手を見ることができました。 新日鉄名古屋というチームでやはりそこでも任されていたのは四番打者という役割。 プロ野球に比べれば遥かに地味で注目される事の少ないアマチュア野球の世界だったとはいえ、かつての郷土の英雄がいまもこうして四番打者を務めているという事実になんだかちょっと嬉しかった瞬間でした。

そしてさらに話は進んで一昨日のこと。 東京ドームで行われた社会人野球・都市対抗、愛知県代表の王子製紙・春日井とホンダ・狭山で行われた決勝戦。 試合はもつれにもつれ5-5のスコアで延長戦に。 延長10回の一死、王子製紙に劇的なサヨナラホームランが飛び出しました。 なにか見覚えのあるような綺麗な弾道でライトスタンドに消えていったその打球を放ったのは、かつてイチローや稲葉のライバルであったあの林尚克選手。

何年ぶりかに聞いたその名前、何年ぶりかに見たそのバッティングフォーム。 それはまぎれもなく13年前の甲子園で満塁ホームランを打ったあの同郷の天才打者に間違いなかったです。 メジャーリーグでもプロ野球でもない場所であってもしっかりと活躍し続ける姿。 次の日の朝、読んだ新聞のスポーツ欄にはその林尚克選手の写真がカラーで大きく掲載されていました。 メジャーで活躍を続けるイチロー選手の記事よりも大きく。

同じ地元の出身であり、同じく野球をやるボクはというと相変わらず草野球と呼ぶのにも苦笑してしまうレベル。 イチローにも稲葉にも、そして林にもだいぶ差をつけられてしまいました。 そりゃあ、彼らが甲子園を目指して毎日練習していたその頃のボクは、毎日ファミコンの練習に明け暮れていたいたんだもんなぁ。 もしボクも幼少の頃から野球をやっていて、もし彼らと同じチームで野球をし、あるいは他のチームに所属し彼らと対戦したりしていれば自分もいまごろは・・・・いや、そんな無駄な「もしも」を考えるのはやめるとしましょう。

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