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April 2004の記事

April 02, 2004

SESSION #028 「ある新人騎手の死」

028.jpg競馬の世界では毎年3月に新人騎手がデビューします。 ちょうどこの時期は地元の中京競馬場が開催しており、この開催でデビューする新人騎手たちを観に行くのが毎年の楽しみであったりします。

運良く初勝利でも見れれば、将来その騎手が有名になった時に、「あいつの初勝利をオレは競馬場で見てたんだぜ」なんて語るのは競馬ファンならずともスポーツを長年にわたって観戦している人ならではの楽しみのひとつでしょう。

今年も3月7日に中京競馬場の第9競走にて新人の竹本騎手が初勝利をおさめました。 彼は競馬学校を2002年に卒業したものの怪我で騎手免許試験を落ち、他の同期に2年も遅れてやっとこさデビューすることのできたなかなかの苦労人。 苦労人らしく初勝利のインタビューでは「同期には絶対負けないぞ」と話していたのを覚えています。

しかしその3週間後、ニュースで耳にしたのは彼がレース中の落馬事故で意識不明の重態となったとの報。 そしてその5日後には彼が亡くなったというニュースが新聞でもテレビでも報じられました。 初勝利の日から一ヶ月も経っていないうちに届いた、あまりに悲しすぎる20歳の新人騎手の死亡のニュースでした。

落馬事故での騎手の死というニュースに触れるのはこれが初めての経験では無く、過去に何度か直面した事はあります。 事故というものは極めて不幸なものだし、無いに越したことはないけど、競馬がある以上その可能性を一切ゼロにすることはできないでしょう。 しかし、競馬のみならず、ボクシングでもモータースポーツにおいてでも、競技者は常に死と隣り合わせであるという事実は当たり前のようでいて普段は忘れてしまっているような気がします。 だからこそ、こうして事故が起きた時になんともやりきれない気持ちになってしまうのです。

それでもやっぱり自分が競馬もモータースポーツも見続けているのは、危険と紙一重の場所でありながら、それでいて、それがために華やでもあるプロの舞台に魅力を感じているからなんでしょう。 ひとりのファンとして出来ることは、その危うさと華やかさの舞台の上にいる彼らプロスポーツプレイヤーに対して今まで以上に敬意と尊敬の念を持って応援し続けること。

若くしてこの世を去ることとなった竹本騎手のご冥福を一人の競馬ファンとして心からお祈りします。 願わくは今後ともこのような事故が起こらないことを祈りながら。

(写真:竹本貴志騎手初勝利の表彰式 2004年3月7日・中京競馬場)

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