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August 16, 2002

SESSION #005 「競馬場がなくなる日」

 「競馬場へ行くのかい?」

旅先の駅でバスを探していたボクに独特の中国地方訛りで声を掛けてきた白髪の老人。
話を聞けば、もう何十年来の地元の競馬ファンだとの事。
キャリアのなせる業か、一目見てボクを競馬場に行く人間だと判ったと話してました。

山陰の小さな町にある島根県は益田競馬場。
この夏をもって廃止されることが決まったその小さな競馬場に残された開催はラスト三日。
その三日のうちの一日目に訪れることができました。

今後この益田競馬場で競馬が開催されることはもうおそらく二度とない、つまりボクにとって、ここ益田ではこれが最初で最後の競馬観戦となるわけです。

フルゲートは八頭立て、六枠連単の前時代的な馬券、スタンドと馬場の間に公道が走るという世界的にもまれな立地条件・・・、 この日本一小さな競馬場、廃止の理由は赤字経営が続いたためとか。 不景気のなか主催者である人口五万人余りの益田市の財政を圧迫しているとのこと。 主催者の苦悩は確かにわかるのだけれど、これだけ地方競馬らしい味のある競馬場がなくなるのは本当にさびしいの一言につきます。

それでも、契約会社との関係で宣言することもなく突然廃止となった大分の中津競馬場、廃止が決まった最後の開催日が雪のため中止となった新潟県競馬、昨年度に廃止されたこの二つに比べれば、最後の最後に全国のファンが集まりセレモニーも行われる中で惜しまれて閉幕するこの益田競馬は幸せなほうかもしれないです。

 「これだけの人が集まったのは久しぶりだなぁ」
とは、前述の駅で出会った老人がつぶやいた言葉でした。


さて、その益田競馬場で懐かしい人に出会いました。懐かしいとは言え面識があるわけではないんですけども。
その人は、かつてこの益田競馬場の騎手として活躍し今も日本の女性騎手最多勝利記録に名前を残す吉岡牧子さん。

ボクが高校生のころ岐阜の笠松競馬で一度だけ見たことがあるだけな人なんですが、当時読んでいた競馬雑誌に何度も紹介されていた人であり益田競馬場の事は知らなくても吉岡さんの事だけは知っていました。

現在は結婚して東京で主婦をされているとの事でしたが、益田競馬の廃止を聞いて朝から駆けつけたと話していました。
サインを頼むと気軽に応じてくれ、話してくれた色々な思い出は本当に印象的な事ばかり。

頂いたサインに書かれていた言葉は、「LOVE HORSE」。
競馬に関わる全ての人へのメッセージでしょう。 「馬を愛せ」と。

その益田競馬場、本日、平成14年8月16日をもって55年間の歴史に幕を閉じました。

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